仕事の基本は「LIFO」
▶ LIFOとFIFO
LIFO(ライフォ)とFIFO(ファイフォ)・・日常よく耳にする言葉で、いろいろな場面で使われているので皆さんもよくご存じでしょう。コンセプトは非常に簡単ですが、改めて説明しますと・・「処理しなければならないモノ(コト)が、ある一定の期間、”使用(処理)待ちとして保存(在庫、保留)”するような場合、前から有る順番で片付けるか、新しく来たものから順番に片付けるか」のことです。言葉だと分かりにくいのですが・・スーパーでの買い物を例にとれば、「買い物かごの山」がLIFO、「レジ待ち」がFIFOと言うことになります。
⇒ 「買い物かご」は、山と積まれたカゴが山の上から(即ち、後から乗せられたものから)使われます。
⇒ 「レジ待ち」は、先に列に並んだ人から、お勘定をしてもらえます。
順番に並んだモノを・・・
・ Last-In First-Out(後入れ、先出し):後から来たものから順に処理します。
・ First-In First-Out(先入れ、先出し):先にあるものから順に処理します。
と、言うわけですね。そして、応用例としてはざっと挙げただけでも・・
・ 生産現場:在庫品を生産ラインに流す場合、在庫の古い順から使用するか、新しいものから使用するか。
・ プログラミング :バッチデータの処理の順番。
・ 会計(在庫品の評価):「棚卸し」における在庫品の価値評価方法。
まだまだ、ありますが・・・
ところで、皆さんも普段の生活で、”やらなければならないこと”を何気なしに、いろいろ”順番付け”しているはずです。。しかし、本来の意味でのLIFO/FIFOは「あらかじめ決められたルールに従って処理すること」ですから、私たちの”順番付け”はLIFO/FIFOではなく、「その場の”選択”」の結果という場合がほとんどではないでしょうか?そして、この”選択”によく用いられるのがマトリックスです。
【伝統的なマトリックス処理】
「仕事」の分類には、簡単なもの/複雑なもの、すぐにできるもの/できないもの、重要なもの/それほどでもないもの・・それこそ千差万別、それらが毎日次から次へと押しかけ、片付ける傍から新しい仕事が積み上がるわけですから、これをどういう順番で”片付けるか”は悩ましい問題なわけです。
伝統的なマトリックス処理:
横軸に「重要度」、縦軸に「緊急度」をとり、各軸を「高・低」に分けてタスクを分類する。「重要度、緊急度ともに”高”」のものから片付けていくが、重要性と緊急度のどちらを優先するかによって、順番付けが変わってくる(1⇒2)。
スムーズに処理できれば非常に効率的な反面、重要性・緊急性の判断が恣意的になり易い。
伝統的マトリックス処理の特徴と問題点:
・ 比較的ルーチン(恒常的)で、難易度のバラつきが少ないタスクを効率的に処理する場合には効果的。
・ あまりに重要度が高く自分だけで判断つかなかったり、時間を要したりするタスクの場合、その時点でスッタク(思考停止)してしまう。
・ 重要度、緊急度とも、”中間程度”に位置する場合のタスクの順位付けが恣意的になりやすい。
・「できない事」を「4」に落として放置すると、問題が埋没して後から更に状況が悪くなってくる場合が多い。
・「重要性 ≠ 難易度」 :重要性と難易度は必ずしも一致しない。
成功する人の仕事術:(LIFOで)すぐやる!
【成功するマトリックス処理】
毎日、多種多様な問題が頻繁に発生します。そして、周りの状況も刻々と変化していますから、その”重要度”もその度に変わってきます。問題をマトリックスに当てはめて、悠長に処理の順番を考えているヒマは無いのです。大切なのは”やる順番”ではなく、”できるスピード”です。中には「結果の予想(自信)」がつくまで、いろいろ考えて処理を待つ(特に真面目な)人がいますが・・これは「待つ時間」の機会損失につながりかねません。
「時間の損失」は絶対に取り返せません。たとえ(時間をかけて)熟考した上で処理できたとしても、その間にタスクの重要性が変わってしまい、せっかくの結果が何の役にも立たないどころか、かえって新たな問題を生んでしまった・・と、言った事もよくあることなのです。
タスクを処理する上で一番重要な要素・・それは「時間」です! 「100%の自信がなくても、だいたい80%の見込みがつけば、すぐに実行に移す・・そして、やりながら考えて、(必要なら)その都度修正していく」ことが仕事の基本になります。
重要性が低い新たな問題の処理:重要性が低い(たいてい時間がかからない些細な) 問題(仕事)は、ついつい”後回し”にしがちですが、それが積もり積もって、後になって大切な問題を処理するための時間がなくなってしまいかねません。ですから、”小さな事”には逆に注意をはらって、さっさとその場で片付けてしまいましょう。
成功するマトリックス処理:
基本的には、すべての問題をマトリックスに区分しません。時間的な余裕度から、どうしても順番付けが必要なら「重要度」に対する「時間軸(※緊急度or所要時間)」で分け、時間を効率的に使えるかどうかで順位付けをします。
この順位付けの基準は、あらかじめ「チェックリスト」にしておけば、その場で迷うことはありません。
【仕事のやり方の基本】
① 基本的には「来たもの」から順(LIFO)で片付けます。
② 選択が必要な場合には、「チェックリスト」に基づいて順番付けをする(恣意的にやらない)。
③ 仕事の「棚卸し」を定期的(日次、週次、月次)に行い、「やり残し」がないかチェックする。
④ 「捨てる勇気」を持つ(自分だけで悩むのは時間の無駄。さっさと”代替手段”を考える)。