語源を訪ねる:古代ギリシャ(1) nature

自然を表す英語「nature」はラテン語の「ナートゥーラ(natura)」を語源としており、さらにこの語はギリシャ語の「ピュシス(physis)」の語訳である。今日の「物理学(physics)」はそこから派生した語句である。

「ピュシス」は自然界の森羅万象を包括的に表す言葉であるが、もともと「生み出す」を意味する「ピュオマイ」をいう動詞に由来しており、そこから「生み出されたありのままの姿」、あるいは「生長」や「生成」を意味する語として用いられ、やがて生長や生成の結果として事物がもつ「本性」や「性質」を意味するようになった。

(「科学哲学への招待」野家啓一 著 より)